ー翌日。
昨日の夜、ルーズリーフに書いてあった電話番号に掛けると当たり前だけど葉山先輩が出て、ひとみと2人でバイトすることを伝えると…
早速明日から働いて欲しいと言われて、学校が終わったら駅前の"Petit Bonheur"という店に来て欲しいと言われた。
そして、あたしとひとみは今そのケーキ屋さんの前に立っている。
外装はそんなに大きい訳じゃないんだけど、赤と茶色でまとめられていてオープンテラスがあって、
外からもショーケースが見えて今すぐ飛びつきたいくらいのおいしそうなケーキがたくさん並んでいる。
「この"Petit Bonheur"って何回か来たことあるけど、まさかこの店が葉山先輩の家のお店だったなんてね。」
「本当だよね、このお店行列できるくらいおいしいし、情報誌にも載ってるよね?」
「うんうん!まさかこんな凄いケーキ屋さんでアルバイトができるなんて思わなかったよ!」
「それは良かった。で、結衣たちはいつまでここに突っ立っているつもり?」
「「え?」」
後ろを振り向くと、少し呆れたようにあたしたちを見る葉山先輩。
先輩…いつからいたんですか?
全然気付かなかったんだけど…
目線をひとみに向けてみたらひとみもフルフルと首を横に振るし。
やっぱりひとみも気付いてなかったんだ。
「親父たち今か今かと待ってるから早くついてきて。…今日は図書室で勉強しなくて良かった。」
「「すみません…」」
あたしたちは葉山先輩について行って中に案内してもらった。
お店のドアを開けると、甘い良い香りがして思わず匂いに誘われてケーキをじーっとみてしまった。

