西野くんの偽カノジョ




「えーーー!



葉山先輩の家のケーキ屋さんでバイト?」



帰り道、ひとみと2人で歩きながらひとみが掃除している間のできごとを全部話した。



「ちょっと、ひとみ!



この辺にいる人みんなこっち見てきて恥ずかしいよ。」



同じ高校の生徒だけじゃなくて、そばを歩いてたおばあちゃんはびっくりして固まってるし…



あたしはひとみの腕を引っ張ると少し早歩きをした。


「ごめんごめん。



でも…イケメンコンテストで準ミスターだったあの葉山先輩のケーキ屋で結衣がバイトするって言い出したら



そりゃびっくりするし、大きな声も出したくなるよ。」



「…そうだよね。あたしもびっくりしたよ!



誘われるなんて思ってもみなかったし。



それで、そのケーキ屋さんでひとみも一緒にアルバイトしない?」



あたしは一度足を止めてひとみに言った。