「あの…ごめんなさい!」
あたしは俯きながら謝った。
西野くんがどんな顔をしているのか見るのが怖くて、目を見て謝ることができなかった。
「理由は分かった。
でもなんで男と2人になんだよ。危機感なさすぎ。
みんながみんな良い奴とは限らないんだからな。
後悔してからじゃ遅いんだからな。」
西野くんはあたしの顔を掴んで正面を向かせた。
彼は怖い顔をしていたけど、その反面切なそうな顔もしていた。
「でも、葉山先輩は大丈夫です!
あたしが嫌がることをする人だとは思えません。」
だって短い期間だったけれど、あたしに嫌がることは1つもしなかったもん。
今日のは…確かにびっくりしたけど。
冗談に決まっている。
「はぁ…
だったら…俺を今からアイツだと思って離れてみろ。」
西野くんはぎゅっとあたしをいつもよりも強く抱き締めてきた。
きっと腕の中から抜け出せる!
そう思って逃げようと必死に動いてみたり、押し返してみたりするけど全然ビクともしなくてだんだん怖くなってきた。
「どうした?早く出てみろよ。
結衣は今日アイツがそこまでしなかったから良かったものの、こうなったっておかしくなかったんだからな。」
そう言うと、今度西野くんは唇を近づけてきた。

