西野くんの偽カノジョ




そのまま抱き締められてあたしはそのまま何もしないでいると耳元で



「結衣以外のにおいがするんだけど…」



と言われてあたしは思わずビクっとしてしまった。



これじゃあ、肯定してるのも同然じゃん。



あたしのばか…



「…」



「結衣」



と名前だけ呼んでくる彼、顔を覗いてみると口では言わなかったけど「話せ!」と言っている。



「お、お、怒らないですか?」



ビクビクしながらどもって言うあたし。



「言い切れない。さっきの怒りも残ってるし。」



とあっさり言われてしまった。



「分かりました。…じゃあ、嫌いにならないで下さい。」



「それはないから。早く話して。」



絶対にだよ?



でも嘘は言いたくない。



正直に全部話そう。



「あたし…学校に来てから図書室に行って葉山先輩と会っていました。



それで………



抱き締められたけど…拒絶しませんでした。」




自分が心残りするのも嫌だったけど、何より西野くんに嘘をつきたくなくてあたしは正直に全部話した。