西野くんの偽カノジョ




教室のドアを開けようとしたら…



ドアにある小さな窓から、なんだか朝から怒っている西野くんの姿が見えた。



「おはよ、結衣ちゃん。今から凄いことが始まるからそこで見てて。」



「はい…」



後ろを振り向くとハルくんがいて一緒に窓から覗いていた。



「誰だよ、こんなことした奴は!」



西野くんはバンっと数冊の教科書を教卓に音を立てて置いた。



その教科書の無惨さはすごくて、ビリビリだし…ペンたくさん落書きがしてあった。



「…」



あれって…あたしのだよ、きっと。



こんなことされる理由があるのはあたししかいないし。



朝だってすごくみんな冷たい目で、睨んできたし…



あたしがもっと綺麗で、西野くんに似合う人だったらな。



こんなことされないで済んだかもしれないのに。



「こんな陰険ないじめ俺が気付かないとでも思った?バカみてぇー。



俺はこういうことする奴は大っ嫌いだ!今は出てこなくてもいい。でも、結衣が帰ってきたらちゃんと謝れよ。



前も言ったけど、結衣は俺の彼女だから、男女問わなく結衣に何かしたら絶対に許さないから。



もう二度とこんなことすんじゃねぇよ。」



と女子を思いっきり睨みつけると西野くんは教室から出て行った。