「彼はいつも通り無愛想で冷たい目をしながら、最初見てたんですけど…
あたしが「ごめ…んな…さい」って途切れ途切れに謝ったら
様子が変なのに気付いてくれたみたいで
一瞬目を見開くとすぐにあたしをおんぶして走って保健室まで連れて行ってくれたんです。
あたしは連れて行ってもらっている途中で意識を失ったので
保健室で目が覚めたところからしか分からないんですけど…
あたしが目を覚ます前に、
友達のひとみが保健の先生にあたしが倒れた原因を話してたのを一緒に聞いてたみたいで
あたしが目を覚ました瞬間…
『二度と一夜漬けなんてすんなよ!心配かけやがって…
もう迷惑かけんなよ!』と怒って帰って行ったんです。
怒られて好きになる人なんていないと思うんですけど、あたしはそれが嬉しくてたまらなくて。
それ以来、彼とは何もなかったし、テスト中だったこともあってお礼も言えずに終わっちゃったんですけど
遠くから彼を見るようになって
2年生になってから事情があって偽彼氏をしてもらった頃にはもう本当に好きになっちゃったって感じです。」
あたしが一通り話すと、先輩は抱きしめていた腕を緩めてあたしを離してくれた。
あー恥ずかしい。
こうやって男の人に話したの初めてだから緊張した…

