西野くんの偽カノジョ




「アイツに言われたの?」



言葉には出さないけどちょっと切なそうな先輩。



「え?」



「分かってるだろ。その…呼び方」



「あ…」



西野くんに言われて直したんだった。



彼の名前も未だに呼べないしね。



「アイツらしいな。でも遠くなった気分…」



そう言うと、先輩はそれから目を合わせてくれなかった。



どっかボーっと遠くを見る感じで…



「すみません…でもそんなことないです!



呼び方が変わっても、他は何にも変わりません!



あと、あたし…全然お礼にはならないかと思いますが何かしたくて…」



来るかどうか分からなかったけど、なんだか先輩なら来そうで




かばんから持ち出してきた小さな袋を先輩に渡した。