「葵、今の聞いた?『かっこいい、市川くんに似合ってる。』って」
え…
あたし、今声に出ちゃってた?
…恥ずかしい。
「うるせぇよ」
西野くんはさっきよりも強くあたしの手を握った?
どうしたんだろ?
手を繋ぎ直したかったのかな?
さっきよりも強く握られちゃったら…もっとドキドキしちゃうよ。
恋するのだって久しぶりだし。
しかもさっきミスターに輝いたばっかりの西野くんの……彼女。
夢だったらショック大きいよ…
あたしがぼんやり自分世界に入っていても話はゆっくり進んでいた。
「しかも敬語じゃなくて、普通に言ってくれたんだよ!」
マジ嬉しいわー!と言いながら喜んでる市川くん。
「…」
「ねー!結衣ちゃん、そろそろ市川くんって堅苦しい呼び方しないでハルって呼んでよ!」
ねっ?とにっこり悩殺スマイルをしながらあたしに頼んでくる彼。
そんな市川くんに断る理由なんてあるわけがなかった。

