「…やっと捕まえた。アイツに抱き締められやがって。
アイツの匂い移ってるし…むかつく。」
西野くんはふんわりと優しくあたしを抱き締めた。
今度はあたしの落ち着く場所だ…
あったかくて
心地よくて
離れられなくなりそうな腕の中。
「…」
「決めた。これからは偽じゃなくてちゃんと本物の彼女になれ。」
「…」
もうびっくりしすぎて声が出ない。
まさかこんなことを言われるなんて思いもしなかったから。
「結衣?」
一瞬夢かと思ったけどあたしの名前を呼ぶ声が違うって教えてくれて。
だからあたしは笑顔で微笑みながら
「はい。お願いします。」
と答えた。

