「あの…ごめんなさい!」
結衣はいきなり俺に頭を下げて謝ってきた。
何だよ。
今になって振られるんのかよ。
「いいよ、今からでもいいから葉山の所に行け。」
俺は結衣を見ずに外を見ながらそう答えた。
「違うんです…違うんです。あたしの好きな人は翔太先輩じゃないんです。」
「は?」
意味分かんない。
この間だって俺といざこざがあった後に葉山に抱き締められてたくせに。
本当は怒り任せにそれを言おうと思ったけどグッと堪えた。
「だからあたしの好きな人は翔太先輩じゃないんです。
…嘘ついてました。本当にごめんなさい。」
そう言ってまた謝ってくる結衣。
まだ結衣の好きな人が俺と決まったわけじゃねぇのに
俺は安心して「はぁ…」と溜め息が出た。

