西野くんの偽カノジョ





「失礼しまーす!っていないし…



俺、葵のことベッドまで連れてくから



結衣ちゃん悪いんだけど体温計と冷えピタ持ってきてもらえる?」



「はい!」



あたしも保健室に入るとやはり保健の先生はいなくって…



ドアの前に《外出中》と看板がかかっていた。



あたしは体温計と冷えピタを取りに行こうとして



掴まれている手を離そうとしたら…



「ダメ…離さ…ない。」




と言って西野くんは離してくれなかった。



絶対さっきよりも悪くなってる。



だって息するのさえ大変そうだもん。



「西野くん、あたし絶対逃げたりしませんから



すぐに戻ってくるからちょっとだけこの手を離して下さい」



「絶…対?」



あたしはコクンと強く頷いた。



「ほら、葵ベッド行くよ。」



そして西野くんの熱い手がゆっくり離れた。