『ふぁ~…』


手で口を抑えつつも欠伸が止まらない。

結局、全然寝れなかった…。


昨日はあたしが頭を抱えてる横で真帆と遥ちゃんがずっと黒田さんの疑惑トークをしてて、帰ってからもずっとそれが頭の中を離れず…。


資料作りしなきゃと思っても全然集中出来なくて、気付いたら明け方。

ほぼ寝てないに等しい。


だって、黒田さんにまさかあんな噂があるなんて思わなかったし…。


『本当なのかな…』

「何がだ?」

『えっ…!く、黒田さん!?』


心の声を思わず呟いてしまった所にいつの間にか怪訝そうな顔をした黒田さんが後ろに立って居て、アワアワしてしまう。


「何を慌ててるんだ?」

「いっ…いえ、別に慌ててなんか居ません!お、おはようございます!!」


「……おはよう」


挙動不審すぎるあたしの挨拶に訝しげな表情をしつつも、それを特にツッコまずに返してくれた黒田さん。


ツッコまれても『黒田さんって男の人が好きなんですか?』なんて、聞ける訳無いし助かった…。