「とりあえず…どうする……?」
逃走者のアタシと日向は
皆に紛れて逃げ、旧校舎の音楽室まで来ていた。
元ピアノだった『はず』の塊の影に隠れて、ただ息を潜める。
「ここからまた動くのは…危険よね…?」
「んー…ここは暗いし…ハンターが来ても音を出さなければばれないと思うけど……」
日向は考え込むように顎に手を当てて眉間にシワを寄せる。
…こーゆー時だけ頼りになるんだから…
たしかに、周りを見回したら
窓は古い板が打ち付けられていて、教室はかなり暗いから周りがあまり見えないし…
足場もあまりよくない、それにホコリとカビのにおいがひどい
そんな場所に人が居ると普通は考えない。
「ま、アタシらがこのカビのにおいに堪えられたらね……けふっ」
肺がホコリまみれになった気がしてむせる。
それに気づいた日向はアタシの背中を優しくさすってくれた。
「埜唖が嫌なら場所かえるよ?」
「…アタシがそんなリスク高いことすると思う?」
「…ならいいけど…((苦笑」
…あのね?
ホントは心配してくれたのが嬉しかったんだよ?
自分の気持ちに素直になれないアタシの性格…わかって…?
そうして日向が背中さすってくれるなら、アタシ
ホコリだってカビのにおいだって堪えるから
「日向…手…繋いでもい?」
「……ん…」
暗闇でアタシ達は
お互いの手を握っていた
ピリリリリリリ!!!
音楽室にけたたましい着信音が響いた。