それから二十分ほど車を走らせてようやくCrewが見えてきた。控えめなネオンが町並みを照らす。こぢんまりとした店で駐車場も五台ほど車が止められるスペースがあるだけ。アジアンテイストなその外観はどこか温かみを感じさせられる。
「皆、早いな。もう集まっとるみたいやで」
「本当だ」
駐車場には数台の車がぎゅうぎゅうに止まっており、店内から賑やかな声が漏れて聞こえてきている。これからもっと騒がしくなるだろう。
チリーン。
古びた鈴を鳴らして店内に入る。見慣れた顔ぶれがぞろぞろと揃っていた。カウンターには経営者だが、経営者らしからぬ中年男性がふしだらな雑誌を手に鼻の下を伸ばしている。名を松田 圭一といい、皆からはユウちゃん同様、ケイちゃんという愛称で親しまれている。三十七歳、独身。
「圭一さん、こんばんは」
「…よお」
「ケイちゃん、急に悪いな。適当につまめるもん作ってくれ」
「…へいへい」
「あ、あとプリンもお願い。ルイの」
忘れないうちに頼んでおく。後でルイが煩い。
ちなみに私が圭一さんを愛称で呼ばないのは彼が父の知人であるからだ。特に深い理由はない。
料理が出来上がるまで私たちは椅子に座って寛ぐ。久々に顔を合わせるうちのスタッフたちも相変わらず元気そう。
「詩」
「…綾那。何飲んでるの?」
「レモン水。ちょっと飲む?」
「うん」
こうして彼女と何気なく話すのは久しぶり。赤坂の家にずっと缶詰状態だったので当たり前だが。
彼女は学生時代からの大親友で陰ながら私たちを支え、見守り続けている。名を右京 綾那といい、私たちと同じ二十歳。結成当時からずっと私たちのサポート、マネージャーをしてくれている。黒髪がよく似合う和風美人で言い寄ってくる男は数知れず。けれど彼女が靡くことは決してない。中学の頃からずっと一途に思いを寄せている相手がいるのだから。
「あ、美味しい」
彼女が飲んでいたグラスを手に取り、私はそれを少し口にした。程よく甘く、爽やかなレモンの味がする。少し気持ちが和やかになった気がした。
「ケイちゃんに作ってもらおうか? どうせ今日、お酒飲まないんでしょ?」
「うん。ありがと」
一旦、私の元を離れて圭一さんの元へと小走りで駆けてゆく綾那。黒髪の長い髪が靡いて綺麗。
「皆、早いな。もう集まっとるみたいやで」
「本当だ」
駐車場には数台の車がぎゅうぎゅうに止まっており、店内から賑やかな声が漏れて聞こえてきている。これからもっと騒がしくなるだろう。
チリーン。
古びた鈴を鳴らして店内に入る。見慣れた顔ぶれがぞろぞろと揃っていた。カウンターには経営者だが、経営者らしからぬ中年男性がふしだらな雑誌を手に鼻の下を伸ばしている。名を松田 圭一といい、皆からはユウちゃん同様、ケイちゃんという愛称で親しまれている。三十七歳、独身。
「圭一さん、こんばんは」
「…よお」
「ケイちゃん、急に悪いな。適当につまめるもん作ってくれ」
「…へいへい」
「あ、あとプリンもお願い。ルイの」
忘れないうちに頼んでおく。後でルイが煩い。
ちなみに私が圭一さんを愛称で呼ばないのは彼が父の知人であるからだ。特に深い理由はない。
料理が出来上がるまで私たちは椅子に座って寛ぐ。久々に顔を合わせるうちのスタッフたちも相変わらず元気そう。
「詩」
「…綾那。何飲んでるの?」
「レモン水。ちょっと飲む?」
「うん」
こうして彼女と何気なく話すのは久しぶり。赤坂の家にずっと缶詰状態だったので当たり前だが。
彼女は学生時代からの大親友で陰ながら私たちを支え、見守り続けている。名を右京 綾那といい、私たちと同じ二十歳。結成当時からずっと私たちのサポート、マネージャーをしてくれている。黒髪がよく似合う和風美人で言い寄ってくる男は数知れず。けれど彼女が靡くことは決してない。中学の頃からずっと一途に思いを寄せている相手がいるのだから。
「あ、美味しい」
彼女が飲んでいたグラスを手に取り、私はそれを少し口にした。程よく甘く、爽やかなレモンの味がする。少し気持ちが和やかになった気がした。
「ケイちゃんに作ってもらおうか? どうせ今日、お酒飲まないんでしょ?」
「うん。ありがと」
一旦、私の元を離れて圭一さんの元へと小走りで駆けてゆく綾那。黒髪の長い髪が靡いて綺麗。
