「あ、これ空には内緒ね? 怒られちゃうから」
「うん」
と、綾那は複雑な面持ちで頷いた。
「「「「Happy Birthday! 詩!」」」」
直後、パンッ、パンッ、パンッ、とクラッカーが私たちに向かって放たれた。
「…え? ……えぇ?」
「おめでとう、詩!」
綾那はぎゅっと私に抱き着いているが、いまいちこの状況が理解出来ていない。頭の中が少し混乱している。
「詩、昨日誕生日やったやろ? お祝い出来ひんかったから皆で計画したんや。もちろん、詩には内緒でな」
「ありがとう」
よく目を凝らせば学生時代からの古い友人も数名、揃っている。いつの間に来たのだろうか? 綾那と話していて、全く気がつかなかった。きっと私が昨日、夜中にメールした時点でこの計画は進んでいたのだろう。こういったサプライズを計画するのが章一は好きだ。昔からそう。
私は腕いっぱいの花束、かすみ草を章一から受け取る。そして皆からのプレゼントとして私が愛して止まないイギリス発祥ブランド、Vivienne Westwoodのオーブペンダントを貰った。通常サイズより二回り以上大きく、ずっしりと重い。ずっと私が欲しがっていた物だ。綾那からはボディーケア用品一式を。
今年の誕生日は二十年間生きてきた人生の中でも心に残る一日となるだろう。一日遅れだが。
その後、私たちはお酒を酌み交わしながらの晩餐会を楽しんだ。もちろん、私の手にはお酒ではなく、レモン水が注がれたグラスがしっかり握られている。
「…あれ? ねえ、詩。ルイは? 見当たらないけど」
「……え?」
綾那に言われ、辺りを見渡してみる。だが、ルイの姿はどこにも見当たらない。またどこかで寝ているのだとは思うのだが、たまに外で寝てたりすることもあるので心配だ。風邪でも引かれちゃ困る。
「空。…ルイは?」
「知らね。お守り役はお前だろ?」
「人をベビーシッターみたいに言わないでよ。好きでやってるんじゃないんだから」
私の隣に腰を下ろしている空はウイスキーグラスを片手に窓から見える外の景色をぼんやりと眺めていた。その姿は儚げで物思いに耽っているご様子。長年連れ添ってきたが、初めて見るその表情に私は戸惑いを感じた。まるで知らない男の人がそこにいるようで…。
「詩?」
「…ルイ、捜してくる」
逃げるように私はその場を後にした。
「うん」
と、綾那は複雑な面持ちで頷いた。
「「「「Happy Birthday! 詩!」」」」
直後、パンッ、パンッ、パンッ、とクラッカーが私たちに向かって放たれた。
「…え? ……えぇ?」
「おめでとう、詩!」
綾那はぎゅっと私に抱き着いているが、いまいちこの状況が理解出来ていない。頭の中が少し混乱している。
「詩、昨日誕生日やったやろ? お祝い出来ひんかったから皆で計画したんや。もちろん、詩には内緒でな」
「ありがとう」
よく目を凝らせば学生時代からの古い友人も数名、揃っている。いつの間に来たのだろうか? 綾那と話していて、全く気がつかなかった。きっと私が昨日、夜中にメールした時点でこの計画は進んでいたのだろう。こういったサプライズを計画するのが章一は好きだ。昔からそう。
私は腕いっぱいの花束、かすみ草を章一から受け取る。そして皆からのプレゼントとして私が愛して止まないイギリス発祥ブランド、Vivienne Westwoodのオーブペンダントを貰った。通常サイズより二回り以上大きく、ずっしりと重い。ずっと私が欲しがっていた物だ。綾那からはボディーケア用品一式を。
今年の誕生日は二十年間生きてきた人生の中でも心に残る一日となるだろう。一日遅れだが。
その後、私たちはお酒を酌み交わしながらの晩餐会を楽しんだ。もちろん、私の手にはお酒ではなく、レモン水が注がれたグラスがしっかり握られている。
「…あれ? ねえ、詩。ルイは? 見当たらないけど」
「……え?」
綾那に言われ、辺りを見渡してみる。だが、ルイの姿はどこにも見当たらない。またどこかで寝ているのだとは思うのだが、たまに外で寝てたりすることもあるので心配だ。風邪でも引かれちゃ困る。
「空。…ルイは?」
「知らね。お守り役はお前だろ?」
「人をベビーシッターみたいに言わないでよ。好きでやってるんじゃないんだから」
私の隣に腰を下ろしている空はウイスキーグラスを片手に窓から見える外の景色をぼんやりと眺めていた。その姿は儚げで物思いに耽っているご様子。長年連れ添ってきたが、初めて見るその表情に私は戸惑いを感じた。まるで知らない男の人がそこにいるようで…。
「詩?」
「…ルイ、捜してくる」
逃げるように私はその場を後にした。
