桜が散る

今日この頃。




季節はずれの冷たい風は、俺自身を表すようだった。



彼女の肌を掠める冷たい風と共に流れる雲。




ただ太陽だけは

眩しかった。





「好きとか言うなよ‥」




眠ってしまったキミ

どこか愛らしいキミ





「夏月‥」




呟きながら夏月の頬を優しく撫でる。

壊れ物を触るように‥‥




やっと

やっと触れることができた。



きめ細かくて

どこかか弱い

白い肌。



くるんとカールしたまつげ。





「俺のこと、忘れた‥‥よな‥‥」





そんな俺の囁きすらも

流れる雲と共に

消えてゆく――‥。