ケーキを食べ終わって、レジに向かった。
「・・・円です」
店員さんに言われ、三國は制服のポッケからお財布を出した。
その三國の腕を私は掴む。
「私が出すよ!」
今日たくさんおごってもらったから、なんだか悪い。「いいって!」
ニコって笑う。
「でも・・・」
申し訳ないよ・・・。
店員さんも微妙に困ってるみたい。
「んじゃ今度また来た時におごってもらうわ」
ってスマイルマンは優しく微笑む。
「分かった・・・ありがとう」
私は三國の腕を離した。
店員さんにお金を払い、後ろにいる私に振り向いてニコって微笑む。
そして、こ・ん・ど・お・ご・れ・よ!って口を動かす。
『今度』・・・また来るんだ。
なんだか嬉しくなった。

支払いも終わり、木製のドアを開けた。
「ごちそうさまでした」
私は三國にペコッて頭を下げた。
「ハハっ!今度おごってくれるんでしょ?楽しみにしてるから!」
三國は子供っぽく笑った。私もアハって笑った。


もうすぐ太陽が沈む時間だ。
三國ともお別れ。
「明日も遊べる?」
三國に聞いた。
もちろん、明日も学校はちゃんとある。
平日だから。
「明日は学校行くよ」
学校・・・。
「そっか・・・」
三國は学校なんだ。
普通は、学校行くよね。
私は、普通じゃないの・・・?

「三國のクラスは、どんなクラス?」
三國の制服の袖を引っ張る。
「男子は、仲良いよ。」
柔らかく、答えた。
「・・・オレさ。カノに来てほしいよ。このまま来ないままにしてほしくない。学校でも、会いたいんだ。カノが知りたい。オレ、カノともっと話してみたいんだけど?」
真剣な眼差し。
私を突き抜く。
三國のそれは、・・・同情?
本当?
本当に三國は、そう思ってくれてるの?
・・・本当なら、私は、
私・・・。
「私も明日学校行く!」
何かが変わる瞬間だった。