映画が終わり、照明が明るくなってきた。
映画はハッピーエンド。
三國は映画が終わっても熟睡中。
「三國っ!三國っ!」
三國の体を起こそうと揺らした。
「ん?あぁ・・・」
三國は目を擦って「おもしろかったな」と言った。
おもしろかったって・・・映画一本分寝てたのに。
それでも見てたって事にして、私に気を使っていないって安心させようとしてるんだ。
優しいんだな・・・。
映画館から出て、今度は何か食べようとかわいいカフェに行った。
店内はオシャレで平日に制服姿の私達は浮いていた。
映画館でも、制服姿だったけど、真っ暗だったからさほど、気にならなかった。
店員さんの案内で席につく。
オシャレなカフェに女の子をノープランでさっと連れてこれるなんて、きっと、三國はデートとか慣れてるんじゃないかなと思った。
何にする?って聞かれたから、私は苺のアイスののったケーキを指差した。
ケーキがくるまでヒマになった。
しばらくの沈黙。
なんだか、何を話したらいいのか分からない。
そんなとき、沈黙をやぶったのは三國。
「何組?」
三國は頬杖をつく。
先に運ばれてきたレモンティーを飲む。
「2組」
私も、ミルクティーを一口飲んだ。
やっぱりと三國は喜んだ。「オレも2組!でもカノ学校来てねぇよね?」
三國の質問。
三國と同じクラスなんて、なんだか複雑。
唇をギュッて閉じて言う覚悟を決めた。
「私・・・不登校なの。」私は下を見てしゃべった。「やっぱり・・・」
と三國は言った。
なんで?って聞かれると思ったけど聞かれない。
空気が重くなった。
「私・・・教室にいたくないの。」
そんなに詳しく、話そうなんて思ってないのに、なぜか口が動く。
「私、中2になって転校してきたの。だけど居場所がなくて・・・。やっと居場所ができたと思ったら、あっという間に崩れちゃった・・・」
私の話に三國は真剣な眼差しで聞いてた。
「だから・・・学校来ないの・・・?」
切なそうな同情するような優しい声。
「うん・・・」
ちっぽけな理由。
他人からしたら、くだらなかく思えるけど、私にとっては一大事。
「大変だね・・・。でも教室にはオレいるしおいでよ。」
無理に来いと言うわけでもない三國の言葉は私の胸にしみた。

