tiramisu.


屋上の風は爽やかで、私の髪をゆらした。
三國と二人。
他にこの屋上には誰もいなかった。
・・・なんていっても、八雲君を待ってるんだけど。
二人向かい合わせに座って、お弁当を広げていた。
「あー腹減った。八雲おせーし。」
三國がドアを見てハァとため息をついた。
三國のお弁当は八雲君がつくってくれてるみたい。
いつも見ていたから分かる。
三國のお弁当は凄い。
彩りも鮮やかで、栄養配分もバッチリ。
私も自分でお弁当を作れるけど、八雲君のつくったお弁当に負けそうでとてもじゃないけど、無理。
「八雲君、大丈夫かな。」
いきなりの私の発言に三國は私をビックリしたように見た。
そして、優しく微笑む。
「大丈夫じゃないかな。あいつの要望だしね。」
そう言って、ジュースを飲んでいた。

「三國ー」
ドアが開くと同時に、低い声がした。
「八雲ー!おせーよぉ・・・」
おなかがすきすぎた三國の声はとても悲しそう。
片手にお弁当を二個。
片手にハンカチ。
・・・ハンカチ?
八雲君はハンカチで口を抑えていた。
・・・吐きそうなんですか?
なんだか悲しくなった。
「悪ぃ悪ぃ。ほら」
八雲君は三國にお弁当を渡した。
口をハンカチで抑えながら。
そして、三國の横に座った。
「二度目まして。八雲静夏っていうん・・・だ。」
真顔で私に挨拶をする八雲君(具合悪そう)。
「あ、うん。二度目まして。一瀬彼音っていいます。」
「・・・三國に話は聞いている。」
「あ、そうなんだ・・・」
・・・・・沈黙。
は・・・話が続かない!!!
焦れば焦るほど会話が思いつかない!
ハンカチで口を抑えて、吐くのをひたすら我慢している八雲君。
昨日に比べたら、すごくがんばっていると思う。
でも、でもっ・・・話しにくい!!
そんな私達二人を見かねた三國は助け舟。
「ま、まず食おうぜ」
八雲君はコクっと頷いて、口元にコロッケを運んだ。
口に入れる時はハンカチを取るけど、入れたらすぐ、ハンカチで口を抑える。
私もそんな八雲君をじぃーと見ながらお弁当を食べた。
「・・・あのさ、八雲?いつまでハンカチで抑えてるわけ?」
「・・・俺もがんばっているんだ。これほど女の子を会話したのは幼稚園の年長以来だよ。・・・ごめんね、一瀬さん。不快な思いさせちゃって。」
・・・そうだ。
八雲君はがんばってるんだ!
ハンカチがどーだこーだ言ってる私がちっぽけに思えた。
がんばってる八雲君を応援するんだ!
手助けするって決めたんだから!
「大丈夫!気にしないで!それから、『カノ』って呼んでいいよ」
ニコって微笑んだ。
そんな私の言葉に八雲君はコクンと頷いて、
「あり・・・がとぅ」
と下を向いた。
私、八雲君と仲良くなりたいなぁ・・・。
三國も優しく微笑んでいた。
少し、前進だよね!