今度は、私がノートの端をびりびり破いて
『八雲くんってどんな人?』
って書いて、三國に回した。
『明るくて、優しいアホ』
と、書いてあった。
褒め言葉なのか、けなしているのか分からない返事。
でも、三國が八雲くんが好きだってことはなんとなく分かった。
明るくて、優しいのか。
三國の友達だし、私も仲良くなりたいなぁ。
平淡な授業が終わって、教室に戻ったら、三國が話しかけてきた。
「今日の放課後、オレん家遊び来ねぇ?」
椅子を私の向きに設置して私の目を見て話す。
目と目が合う。
三國が、目を離さない。
近い。
「うんっ!行く行く!」
現実に戻った私は笑顔で答えた。
「楽しみだなー。三國の家初めて!」
「オレしかいねーよ?つまんねぇよ?」
フンって鼻で笑う。
「三國しか、いないの?」
両親は、共働きなのかな?
「いねーよ!まぁ、八雲とは家族みてーなもんだけどね」
「えっ?共働きなの?」
私の言葉に一瞬止まり、机に寄り掛かり頬杖をする。
「いねんだ。」
淡々としゃべる三國。
重い空気。
「えっ?」
「親両方いないんだ」
両方・・・?
「んじゃ、今まで一人暮らししてたの?」
なんだか、心の奥がふるえた感じがした。
「うん。でも、奥さんいるしっ!」
三國は、椅子に体全体で寄り掛かり、ハハって笑った。
・・・ように見えただけで、笑ってなんかない。
声だけ。
無表情なのに。
「八雲!ラブラブなんだ!朝から晩までご飯作ってくれるし!」
無理してるんだ。
私、自惚れてた。
三國は、私には心を開いてくれてる感じがするって。
開いてなんかない。
閉ざしてる。
開いてるのは、『八雲』くんにだけ。
三國は、私の前でも、無理して笑うの。
哀しくて哀しくて、涙が出そうになるのを抑えるのが大変だった。
「今日・・・、八雲とオレとカノで遊ぼ!」
私が泣きそうになっているのに気づいたのか、優しく、優しく微笑んだ。
私もうんと頷いた。

