9月。
爽やかな朝。
もう秋風がふいていた。
キーンコーンカーンコーン・・・と、私の通う中学校から鳴り響くチャイム。
学校始まりの合図。
私はため息をついた。
もう学校が始まっちゃたけど、行く気はしない。
皆が学校や会社に行くのを河川敷にあるベンチに座り、横目で見てた。
私はすることもなく、携帯をいじった。
カコカコと指を動かしていたら、突然後ろから、声をかけられた。
「サボり?」
ちょっと低い声。
私は後ろに振り向いた。
私の後ろにいたのは、知らない男の人。
私が振り向くと、彼はニコって微笑んだ。
彼は制服を着ていて、ズボンが私の制服と同じ柄で同じ学校なのかなって思った。
この人もサボり・・・?
「ねぇ、君咲原中?」
軽い。ナンパ?
私は逃げようとした。
こういう人間って嫌。
「ねぇ、サボりなら遊ばない?オレもヒマなんだ」
(誰もヒマなんて言ってない)
とにかくウザくて私は無視した。
「無視すんなって」
彼は逃げようとする私の腕を掴んだ。
私は手を振り払って速く歩いた。
「ねぇ!」
「ウザい!!」
私は立ち止まって彼に言った。
すると、彼はきょとんとしてから、また微笑んだ。
「やっとしゃべった」
軽い男子とか、凄い苦手。できればしゃべりたくなかったけど、あんまりウザいから仕方なく。
ウザいって言われて微笑むなんて。変態?
「私、あなたのようにヒマじゃないんで。じゃ」
私は冷たく言って逃げようとした。
そうすれば、逃がしてくれるかなって。
「そっかー。残念。せっかくおごりで映画とかに連れて行ってあげようと思ったのになー」
(おごり・・・)
私は正直ヒマだったし、お金もあんまり持ってなかったから・・・ついおごりという言葉に反応してしまった。
「行かない?」
彼は首をかしげた。
なんて、悪い人。
お金で私をつろうだなんて。
「・・・行く。」
長い決闘の末、欲望が理性に勝った。
(私って単純。)

――これが、二人の出会い。