………。
「何で不機嫌なの?」
その通り。
確かに今は機嫌が良くない。
「だって、放課後だよ?今日せっかく早く帰れるのに」
「そんな5分くらいじゃん」
笑われてしまった。
「それに…」
「それに?」
夏樹が不思議そうに見てくる。

「さっきの人、さやに向かっていきなりちびだよ?いきなりっ」
夏樹は、ぷっと吹き出し、
「くだらなっ」
「…馬鹿にしないでよ」
ちびは嫌だもん。
「ごめんごめん。まあ、ああゆう性格なんだよ」
「同じ小学校?」
「そう。でも珍しいよ。冬馬が自分から女子に話かけるの」
「とうま…?」
そっか、さっきの人、とうまって言うんだ。
名前はかっこいい…。
…って、なんか悔しい。
「まさか、さやに気があるとか」
「…またそういう風に考える。宮崎さんの友達だからでしょ?普通に考えて」
「…」
夢を壊された子供みたいな目で見てくる。
「とにかく、この話はほっておこうか」
もう面倒くさくて…。

「そう?ま、チャイム鳴りそうだから後でね」
手を振り、自分の席に戻って行った。