俺は、柊に謝った。
悪いことをしたと思ったから。
そしたら、怒られた。
『最初から−…』
柊の言葉が、頭の中で繰り返される。




柊は泣いた。
その姿を見たら、余計ほっとけない。
あいつにとっては迷惑かもしんないけど…、俺は後悔したくないから。
今、あいつの側にいなかったら、絶対後悔する。

柊は、中2のくせに自分の意識がある。
考え方も大人っぽい。
だけどその分、泣き虫。
泣くのを我慢しているように見える。




俺の右手は、柊の頭を撫でている。
嫌じゃないと言ってくれた。
その柊が頭をあげ、俺を見上げる。

泣き腫らした目は、まだ潤っている。

その目は、真っ直ぐに俺を見る。
俺は目をそらせなくなった。
柊の目を見ると、吸い込まれそうになる。
俺じゃなかったら、惚れていたと思う。