先輩とのキスは、俺の意識を遠くさせる。




遠くから足音が聞こえた。
俺は、その足音が保健室に来ないことを願った。

しかし、無駄だった。
ドアが開かれた。

タイミング悪っ。
しかも誰だよ。
そう思い、ドアを見る。
そこにいたのは、冬馬先輩。
さっき、柊先輩と練習していた人。
……。
俺は、平然を装った。

動揺が気付かれないように、柊先輩に別れを告げた。
先輩に背を向け、ドアのほうへと歩く。
軽く冬馬先輩からは睨まれていた。
そんなことも気にしないように、保健室を後にした。