「悩んでなんかないよ」
一言、言った。
「……」
少し睨まれた。
…怖い。
「あ、悪い…」
謝られた。
意外。
「嘘つかなくてもいいじゃん」
………。
心が読まれてるみたいで嫌だ。

「練習行くので…」
ベッドから降りようとしたら、
「待てよ」
思いっ切り腕を掴まれて、そのままベッドに倒れる。
「変態ですか?」
ふざけたように言ってみた。
「ふっ」
鼻で笑われた。
「マジ。って言ったらどうする?」

ドクンっ

心臓が飛び出しそうなくらいな心拍数。
この感覚は、怖さとかじゃない。
なんなんだろう。
この人といると、自分を見失いそうになる。


「冗談だよ。そんな怯えんなって」
渡辺さんは笑い、さやの隣に横になる。
「怯えてないから」
「そう?すごい顔だったけど」
すごい顔??
恥っ…。
渡辺さんから体を背ける。
「いじけんなし」
「いじけてませんっ」
あー!
調子狂う。
今でも心臓がドキドキしてる。

……。


馬鹿みたい。