でも、本当の恋ではないから。


そんな風に思って、現実に戻ってきた。
抱きしめてくれてた人。
さやは見上げた。


そこには渡辺さん。




また後悔した。
渡辺さんに甘えてしまった事に。
さやは、自分に甘いのかもしれない。

もう嫌だ。
ここからいなくなりたい。
そう思って、渡辺さんの腕の中から逃げ出そうとした。
でもそんな抵抗は無駄で…
無言で引き止められる。


仕方なく抵抗をやめた。

どれくらいこうしていたんだろ。
しばらくして、渡辺さんが話始める。



話を聞いて、心が動きそうになる。
そんな自分を必死に抑える。