「あ……」
シュートを外した。
その弾みで、ボールはさやのほうへ。
スローモーションのように、ボールが近くなってくる。
とうとうよけきれず、
「痛っ……」
ほっぺた直撃。
結構痛い。
しばらく、うずくまっていた。
少し痛みがひいたところで顔を上げると、
「にゃ……っ」
渡辺さんが、寄り添っていた。
みんなは、ちょっと遠くでパス練などをしてるため、さや達には気付いていない。
「馬鹿でしょ」
苦笑いされた。
「…保健室行ってきます」
さやは立ち上がり、保健室へ向かおうとした。
「一緒行くから」
真顔で、そんなことを言われる。
もちろん、断る。
「そんな対したことじゃないので、大丈夫です」
「いいから」
…どうしよう。
勘違いされそう。
ふと、ドアに目がいく。

