HRが終わり、休み時間になった。
俺は廊下に出て、隼人の話を聞く。
「途中でチャイムなってさ」
「知ってる。見てた」
馬鹿なのですか?
この人。
「伝言伝えてくんない?」
正直嫌だ。
俺は滅多に女子と話さない。
女子面倒だし。
裏でなんか言うわ、噂流すわ。
「つうか、柊どいつだよ」
柊なんか見たことない。
「あれだよ」

そう言って指をさす。
そこには、背の低い人。
髪は長く、茶色がかかっている。
集会で見たのとちょっと違う。
いや、初めて見たのか…。
柊と向かい合って話しているのは、夏樹。
夏樹は髪が黒いし、ポニーテールで髪が短く見える。
だから、二人が対照的に見えた。
…柊ねえ。



「まあ、伝えるくらいなら」
なんて、自分でも驚いた。
「珍しい。お前がねえ」
「うるせえっ」
思わず顔が赤くなる。