人の恋人は蜜の味。ーa traitor ー




「どうした?」



さっきまでの笑顔から
一気に真剣な顔になるおったん。


私は一通り周りを見渡してから、口を開く。


「今から話す事は
ゆーちゃんには絶対に秘密にして欲しいの。」



少し間を置いて


「分かった。」


と、うなずくおったん。



「実は美沙、最近イジめられてるの。」



「えっ?」



驚くおったんを無視して
私は話を進めた。


「理由は、ゆーちゃんと付き合ってるからなんだ。その事美沙はゆーちゃんに秘密にしてるの。」



何か言いたげな
おったんを尻目に
更に話しを進めた。



「それで、今日クラスの子達から謝りたいからってこの後美沙、呼び出しを受けてるんだ。
でもね…。様子が変なの。普通謝りたいんだからクラスの皆も美沙を、もうイジめないハズでしょ?」


「うん。」


「それが、今日もずっとイジめが続いてて…。」



「…?」



私はおったんに一歩近寄った。



「どういう事だと思う?」


私の質問に低い声で
おったんは答えた。



「何かしら、されそうだな。」



「そうでしょ?美沙は私の友達なの。」



「分かってる。」



ここからはある意味
賭けだった。


「私…。この後呼び出した皆の所に美沙と一緒に行こうと思う。
美沙だけ抜けるなら、私が何とかしようと思ったけど、私達2人抜けたら、ゆーちゃん怪しむでしょ?
だからおったん、バレない様にフォローしてくれないかな?」




「………」



「………」