「うん…」私は泣きそうになるのを必死にこらえて竜二の跡を歩いた。
こうやって玄関まで送ってくれるのはいつぶりだろうか。
いつもは帰ると言っても「おぉ」だけだった。
ダメだ。我慢出来ない。
やっぱり竜二はほんとは優しいんだ。
無理だよ……変わろうとしないで。
竜二は竜二のままで居てよ……私に頼ってよ……
私はリビングを出てすぐにポタポタ涙が溢れてきた。
足音がしないからか、竜二も立ち止まって後ろを振り向いた。こっちには来ない竜二。
「何、泣いてんだよ」さっきとは違う強い口調で言ってくる。
「……としないで」私は小さな声で呟いた。
「はあ?何て?聞こえねぇー」
何でよ…どうしてそんなに強がるの?
私、知ってるんだよ。
竜二は本当は人より強がりなの。本当はすっごく優しいのも。友達思いなのも。私を大事にしてくれていたことも。
全部、知ってるよ。



