竜二は少しの間泣いていた。そして部屋からまた出て行った。
部屋に戻ってこなかったので私は目を開けた。
私は竜二が座っていただろう場所を数分見つめていた。
竜二に何を聞いても教えてくれない。私は何もしてあげられないのだろうか。
竜二はあの事件で何があったの?
私は少し考えたあと、服装を整えて竜二の部屋を出た。
一階に降りるとリビングの方からテレビの音が聞こえたからリビングの方に顔を出した。
「竜二……」リビングの入り口で竜二の名前を呼ぶと竜二は振り向いた。
「帰るか?」
竜二はテレビの前から立ち上がりこちらに歩いてきた。なぜか口調が優しい。
やばい…泣きそうだ。
さっきの弱々しい竜二の泣き声を思い出す。



