「桃子……」
えっ?
私はびっくりしていた。彼はあの事件から私の名前を呼ぶことはなかった。
桃子からお前に変わっていたのに。弱そうな声で私の名を呼ぶ。
どうして…どうしてそんなに苦しそうに名前を呼ぶの。
彼の手は私の頭に伸びた。昔と変わらない優しい手で優しく私の頭を撫でた。
「ごめん……桃子…」
私は目を瞑っているから分からないけど彼は泣いていた。泣いてる声が少し聞こえた。身体すべてが泣いていた。
竜二……私はその時とてつもなく苦しかった。
何があったんだろ?
竜二を苦しめてるのは何なのだろう。私は怖くなった。



