そう言うと私の唇に何かが触れた。少しずつ離れていく何か。
何が起こったのか全く分からなくて……咄嗟に自分の唇を押さえてしまった。
「えっ……今の何?」竜二に尋ねてみる。
「何か唇に触れたよ?!」
「うるせーな」竜二はまた恥ずかしそうに腕組みをしている。私が尋ねても教えてくれない。ホントに何があったのか全く分からない。
「じゃ、俺帰る」そう言って右手を上げて元来た道を帰っていった。
「りゅーじ!!!」竜二は聞こえてるはずなのに無視。
「もぉー」私は仕方なく家に入った。
「なんだか体と顔が熱いや」独り言をはきながら。
家に帰ると玄関に芽雛姉ちゃんが立っていた。
手を引っ張られて部屋に連れてかれていろいろ聞かれて。
動物のこと以外は話をした。さっきの唇に何かが触れた話しも。
私がお姉ちゃんに何だったのか聞くと呆れた顔で「キスだよ……」と教えてくれた。
「ってかあいつ早すぎだろ!!」と、お姉ちゃんはかなり怒っていたんだけど。
もちろん私には全く分からないけれど。