隣の男の子が小さな声で尋ねてきた。
「付き合ったの?比嘉と」目を輝かせて聞いてくる。
「うん、付き合った」
もう隠す必要もないし、まず隠せない。あんなに堂々とクラスに乗り込んでくるんだから。
教室に入れば追ってこないと勝手に思い込んでいた。
でも相手は金髪のヤンキー。そんなの関係あるまい。
「おい、桃子。話途中だ。」普通に乗り込んでくる彼氏です。私の好きな人は。
「お、おい。ひ、比嘉!!!じゅ、授業中だぞ!?」やたらビビるハゲ数学ジジー。
「うるせぇーな」ヤンキーが言い返さない訳がない。
私は知らんぷり。竜二はお構い無く私の席の前に立つ。
「黒板…見えない」
「知るかっ!何で急に消えんだよ」竜二が机にもたれかかってくる。
その重さで少しだけ机が動いてしまう。私は机を支えながらまたシャーペンに掴む。



