私は英語の教科書を片手に単語を読み上げていた。
公園の近くになり人の声が聞こえてくる。
この公園は虫がいっぱいであまり人が近づかない。だから珍しいと思った。
私は声のする方を見てみた。
「おっ、今日はいっぱい食ってるじゃねーか。偉いな」
そう言って優しく猫を撫でる手。猫に屈託なく笑う男の人。
嘘だ……
その光景はあり得ないと思った。私はびっくりして彼の姿をじっと見つめてしまった。
「明日はもっと食えよ。じゃあーな」彼は立ち上がると同時に私のいる入り口の方を見た。
「あ…」
彼…比嘉竜二はびっくりしたのか一歩足を踏み出して止まった。
私は教科書とカバンを放り投げて彼の元に走っていた。



