「でもいい子なのよ」亜樹さんが隣のお兄ちゃんに何が?といろいろ聞いていてお兄ちゃんはかなり竜二を悪く言っていた。

私はそれを否定しなかったし否定もできなかった。
お母さんはそれでまいい子だといいはっていた。

いい子なんかじゃない。
優しくもないしわがままだし、迷惑ばっかりかけるクソ野郎だ。

だけどお兄ちゃんにあやこや言われているのに腹が立ってきた。

私は食べた食器をキッチンの流し台に運んだ。
「桃子、お風呂入るわね」
「うん」それだけ返事してかばんを持った。

最後に一言だけ。どうしてもイライラが止まらないから。私はドアノブを持ったままお兄ちゃんに告げた。

「お兄ちゃん、確かに竜二は最悪なやつだけどお兄ちゃんにそこまでとやかく言われる筋合いないよ。」そう言って私は出ていった。

そうだ、お兄ちゃんが言ってることは100あれば100当たってる。だけど、腹が立って仕方がなかった。

いつも竜二に腹が立つようなものじゃなくて本気でイライラもモヤモヤが出てきた。

何なんだろ。この違いは…。私は部屋に入ってお風呂の用意をした。

別に優しくなんかない。
だけど…だけど。
あの時のあの笑顔は絶対に本物だと思ったから。

あの笑顔を見たのは中学1年の7月の初めだった。