試合の時間となり私は指定のコートまで行った。コート回りには同期や後輩が囲んでくれている。私は選抜選手に選ばれていたから三回戦からの試合となった。順調に勝ち進んだ私は準決勝に出場することになった。

「桃子!!落ち着いて!!」フェンス越しに応援の言葉をかけてくれるのはもちろん詩。私は振り向いて大きく頷いた。詩も私が頷いたのを見て大きく頷いてくれた。

準決勝の相手となれば試合も困難になっていく。相手は私立の学校の子で今までとは違うスピードの球が飛んでくる。

「桃子!ボール見て!」詩が私に優しく声をかけてくれる。
「はい!!」私はしっかり前を見ながらサーブが来るのを待つ。変化球…私はその球に反応できなくて打てなかった。

「おい、今の反則だろーが」大きな声でコートに叫んでくるのは言うまでもない…ヤンキー野郎、竜二。叫んでくるだけだと思いきやコートの中に入り込んでくる竜二。

「り、竜二!!」私は必死に彼の名前を呼んだ。審判は生徒がしているものだから驚いている。と、いうよりビビっている。この言葉の方が正しいかもしれない。

後ろで見ていた係りの先生もコートまで走ってくる。
「こら!!何してるんだ!!試合中だぞ!!それに一般はコート内に入ってはいけない!!」おーこの人言うねー竜二を知らないからこんなに強気だけど…。