高校1年生の夏休み。
恋に縁のなかった俺が、初めて恋を意識した瞬間だった。


「協力してくれるよな?」
『え…』


友達に協力。
そんな事当たり前の話だ。


『あったり前だろ?』
「よっしゃ!頑張ろ、俺」
『おー!頑張れ!ジュンチならいける!』


ずきん、ずきん…
俺は、人生で初めてこんな痛みに襲われた。
何だろう。
傷とかの痛みじゃなくて…。
心臓?が痛い…。


「時間やべ!」
『本当だ!』
「走るぞ~!」


足が重いのは何故だろう。
今日ベンチ入り出来るか不安だからかな。
そうしておこう…。



俺はジュンチの後ろを走る。
空はどんより曇っていた。
今にも雨が降りそうな。
嵐が来そうな…そんな空だった。