「次、次」
あと板野君に言わなきゃいけないんだから!
「…って、板野君って何組?」
由芽に聞きにいかなくちゃ
私が由芽に聞きに行くと
「はぁ!?あんた自分のクラスの男子の名前覚えてないの!?」
1組の男子?なんで今そんな事言うんだろう…
「板野は同じクラスでしょ!1年1組!」
ふーん そーなんだ
「って、えぇー!?」
そーだったの!?全然気付かなかった…
「板野、可哀想に。存在さえ忘れられてるなんて」
「ち、違うよ!忘れてはないよ」
「あ、噛んだ。麻衣が噛むときはウソついてる時だからね~」
由芽は何もかもお見通しというような顔で私を見つめてきた
やっぱ由芽には敵わないや
「忘れてました。ごめんなさい」
「はじめから素直になればいいのに」
そんな話をしてると板野君が私達のほうへ寄ってきた。
「神木さん、ちょっといいかな」
あ、由芽と話してたからすっかり忘れてた。
由芽は口パクでが・ん・ば・れと言ってくれた
中庭に着くと板野君は振り替えって私の方を見た
「返事、考えてくれた?」
返事はとっくに決まってるのに言葉が詰まって出てこない
「うん...」
言いづらそうにしている私の雰囲気を察したのか板野君は悲しそうな顔をしている
「ごめんなさい…」
精一杯の言葉。私は耐えきれなくなってその場から走り去った
あのままあそこにいたら、あんなに悲しそうな板野君を見たら、思わず
「いいよ」
って言ってしまいそうだったから…。でも、好奇心で付き合ったら板野君に申し訳ない。
付き合ってしまったらきっと罪悪感が生まれてしまう。
私が好きなのは“隆”
3年間、ずっとずっと好きだった。“3年間”この月日が私を縛りつける。告白することも諦めることも出来ずにただ後ろ姿を眺めるだけ…
「はぁ~」
嬉しいことに隆と同じクラスになれたけどまだ一回も喋ってない
「どうだったの」
由芽が好奇心旺盛な目で覗いてきた
「ちゃんと断ったよ」
「じゃなに?そのおっきなため息は」
「なんでもないよー」
「何よそれ?たまにはグチらないと体に毒だよ。」
「ん...ありがと」
由芽と他愛もない話をしてると隆が数人の男子と教室に入ってきた