「痛いんだけど…」 「ごめん」 強く握った手を慌てて、上杉隼人は離した。 「真奈美さん留学するんだ…」 上杉隼人は、二人の後ろ姿を見つめながらつぶやく。 「聞いた」 「裕二にとってこれが最後のチャンスなんだ」 「告白するの?」 「そう言ってた…」 あんたは、それでいいの…? 出かけた言葉を飲み込む。 他人の気持ちがわからない事が、こんなに苦しいという事を初めて知った…。 「二人には幸せになって欲しいな」 上杉隼人がポツリと零した。