トイレから教室に戻る。 みんなの笑顔…。 みんなの笑い声…。 イライラする。 アタシの乏しい喜怒哀楽で、人並みにある感情は、怒りなのかもしれない。 教室に入ると待っていたように、上杉隼人が手を振ってくる。 アタシに集まる視線の中に、さっきの二人組の視線もあった。 視線というより睨み。 熱い視線も冷たい視線も無視して、上杉隼人が待つ席に戻る。 アタシが上杉隼人の座る席の前に立つと、「待ちくたびれた」と彼は拗ねた子供のように口を尖らせた。