「好きだよ」 裸の体を重ねながら、 目の前の男は、平気で嘘をつく。 私は、白い天井を見つめ続けた。 「麗子…」 用もないのに、彼はアタシの名前を何度も囁いた。 彼の長い髪が、私の胸に触れてくすぐったい。 茶色い長い髪。 黒い瞳。 鼻がひとつに、口もひとつ。 目をつぶってしまえば、目の前の男の顔なんて思い出せない。