「送ってくれて、有り難う。タクシーに連絡するので、早く 帰った方がいい。」
「私には、貴方をその気にさせる魅力が無いんでしょうか?」
ピッ…
電話をかけようとした。
「タクシーを呼ぶなら自分でします。」
「恭子さん。ホントにすまない。」
「紗耶香さんって、誰ですか?」
「お願いだ。帰ってくれ…一人にしてくれないか…」
「私、貴方が好きです。だから、いつかきっと振り向かせますから…」
ガチャ…
何で…
何で、僕を一人にしたんだよ。
貴女が側に居ないから…
ふと目が覚めると、昼を過ぎていた。
あっ…いてて…
あのまま、僕は眠り込んでいたのか…
どうやら、二日酔いのようだ。
彼女に酷い事してしまったな。…
ヤッパリ、あの人以外は僕には 抱けない。…
情けねぇよな。…
店のオーナーが、客を抱こうとしたなんて、最低だ。
ふと、床に目をやると彰さんが置いて帰った 小説が 落ちていた。
拾いあげると、そのまま本棚にしまい込んだ。
そして、酷い頭痛に襲われていた。
