「‥なんてね」

そう呟いたクロは、私から目線を外すと膝を抱えて座り直した。

『クロ‥??』

なんだかその姿が消えちゃいそうで思わず声をかけた私‥

その声に反応したのか‥クロはピクッと耳を動かした。


『良いよ』

突然言った私。
そんな私を不思議そうに見つめてきたクロは、

「なにが‥」

とやはり聞いてきた。


『さっき言ってたでしょ??』

「え??」


『拾ってあげる、クロのこと』

そう言った私に一瞬動揺した様子を見せたクロは、少し沈黙した後言葉を発した。


「ありがと、ユキノ‥」

お礼を言ったクロはほんのり頬を赤く染めていてーー‥


『どういたしまして』

そう言った私に微かに笑った。

なんで拾うなんて言ったのか‥
私はクロの事どう思ってるのか‥

自分自身でもよく分からない。

だけど‥
クロの寂しそうな顔を見た時
私は守ってあげたくなった‥

そして‥
消えかけたクロの本当の笑顔と本当の温もりを思い出させてあげたくなった‥


クロ‥
それは不思議な男の子。