ドキーー‥

心臓が音を立てた。


ふいに上げられた顔。
交わるクロと私の目線‥

私を見つめるクロの瞳は揺らぐことなくまっすぐに私に注がれていた。

その瞳に胸は高鳴る‥


「ユキノ‥」

呟いたクロはそっと私に手を伸ばした。

そして‥


ギュッーー‥と抱きしめるクロ

突然のことに露骨に動揺してしまう私は、どう考えても年上なのに余裕でいることができなかった。

『‥ク、クロ??』

尋ねた私に更に力を強める。


「キレイな名前だね‥」

そう私を抱きしめたまま言ったクロに私は赤面してしまう。


『‥え、あの…』

「俺とは逆だね‥」


『え??なにが‥』

いきなりはなたれるクロからの言葉‥
その言葉には明るい様子なんて含まれていなくて‥


「ユキは白いから‥ユキノは白」

『…』

「…だけど、俺はクロ‥黒だよ」

『‥あ、』

そう言ったクロは、ゆっくりと私を離すとそっと元の位置に戻った。


「だけど黒は白をのみこむ‥」

そう呟いたクロの表情‥それはなんだか泣きそうなのに笑っていて、不思議と心に彼の言葉が染み込んだ。