『お茶しかないけど‥』
白のソファはお気に入りで新品だから汚れていない。私はそのソファに彼を座らせて、そう言いお茶を差し出した。
「‥‥」
無言でお茶を一口飲んだ。
その顔はどこか冷めていて‥
『どうして私の部屋の前に??』
と聞いていた。
「…」
尚も答えない彼。
むしろ俯く彼の金色に光る前髪は揺れて‥なんだかきれいだった。
だけど、本当に何故‥
たまたま私の部屋の前にいただけなのか‥
それとも私に用があったのか‥
全く分からない‥
『とりあえず名前は??』
そう言えば彼の名前知らない‥
そう思い尋ねてみた。
「‥クロ」
そう一言言った。
『え??』
「‥クロ」
慌てて聞き返した私だったけどもう一度そう言った彼に、名前を教えてくれたんだと悟った。
てっきりまた黙り込むと思っていた私は教えてくれた事が嬉しくなってしまい笑った。
『そっか。‥クロね』
なんだか猫みたいな名前。
単純にそう思った‥
『私は、ユキノ』
そう言った私に彼は俯いていた顔を上げて私を見つめた‥

