そんな会話をしていると、音楽室のやや立てつけの悪いドアがひかれた。
全員パッと所定の位置に転がり体育座りをする。
ぴっしりとした光景に、日笠は満足そうにうなずいたが、窓際でたそがれている瀬田の姿を見つけると一気に顔にしわを寄せた。
「まったく………瀬田 奏!早く座りなさい!」
瀬田は壊れたブリキ人形のようにゆっくりと顔を日笠に向けた。
しばしフリーズしていたが、やがてころりと己の場所へと転がった。
「まだ休み時間だっつーの………」
優衣は皮肉を小さく吐いた。
勝利したようなみにくい笑みを浮かべ、日笠はピアノの前に座った。
「今日は抜き打ちテストをします」
えーー………示し合わせたようなブーイングが起こる。


