今日は週に一回の音楽の日。


別に楽器や歌が歌えなくても生きて行けるってのに、と隣で唸る優衣を横眼で流しつつ音符のついた教科書をあける。


「もっと最近の曲とかあったらまだしもやる気はでるってのに。なによこの時代曲のオンパレード」


苦笑いをかえし、美羽は地面に置いた教科書を眺め続けた。


音楽室は地べたでも大丈夫なようにカーペットが敷かれている。


周りの壁は無数の穴が順序良く並んでいて防音対策がとられている。


その穴を隠すようにところどころ賞が貼られていた。


前後にあるピアノしか楽器は見当たらない。


きっと前後式の黒板の近くにあるドアの中に不必要な楽器が並べられているのだろう。