「おっはよー!瀬田君!」


待ちわびていたように、瀬田の背中を優衣は強くたたいた。


びきっ!と嫌な音がした背を静かになでながら、彼はくるりと進路方向に背を向けた。


そこには微笑んでいる優衣と、恥ずかしそうにうつむいている美羽がいた。


「一緒に行こ!」


「………うん」


気迫に押され、瀬田は半音高い声をだした。


「あっ!私、忘れ物してきちゃった!」


ものすごい早口で優衣は手を打った。


芝居がかったしぐさに、瀬田が眉をしかめている間に


「さき二人行ってて!後で追い付くから!」