ひたひたとただ歩く二人は、背に夕陽を背負いながら沈黙に包まれていた。 優衣半ばまで来ると、突然足をとめた。 美羽もつられ、足を止める。 橙の光を浴びる優衣の瞳が、きらきらと光っていた。 「美羽、ちゃんと話して」 「………なにを?どうしたの優衣?真面目な顔して」 「とぼけないで」 美羽は固まった空気を溶かそうとほんわり蒸気を投げ込んだが、出汁にもならなかった。 「なんで言ってくれないの?」 「………」 「瀬田君のこと、好きって」